地方自治体の財政に責任を持つ地方議会から、優遇された地方議会議員年金制度への公費負担増額をこれ以上繰りかえさせないため、国に対して廃止に向けた抜本的な見直しが必要です。
◆国会議員の議員年金、 本当に廃止といえる?
2006年2月、国会議員互助年金を廃止する法が制定されましたが、現職で10年以上の議員と元議員には、減額はされるものの議員年金は継続して給付されます。
国会議員の議員年金は廃止になりましたが、議員年金制度自体は残っているのです。
◆繰り返す多額の税の投入
市町村合併の進展で議員数が予想以上に減少したことから、現職議員の掛け金と公費負担で給付を賄っている地方議員年金財政の状況が悪化し、このままでは数年の内に積立金が枯渇し破綻すると言われています。全国市議会議長会と共済会からは、地方議会議員の年金制度の存続を前提に、国に対しこの状況を改善するための措置を求める緊急要望が出されています。
しかし、「改善するための措置」とは、公費負担増額を意味します。法改正を国で行い自治体が負担することになります。現在、全国自治体は、少子高齢、人口減少社会を迎え、厳しい財政運営を強いられているのが現状です。一方では、市民の年金制度への不安が増すばかりです。
地方議員年金への税投入額は市負担分だけでも、2007年度は182億円、県・町村負担分を含めると263億円にもなっています。
政府は02年、06年と繰り返し地方議員年金について定めている「地方公務員等共済組合法」の、地方議員年金への税の投入率をアップする改正を行いました。いずれも「二十年後にも安定した給付ができるための措置」とのふれ込みでしたが、2度も続けてわずか3〜4年で制度の維持が困難になるとは「見込み違い」どころか市民を欺くものです。
◆更なる税の投入を求める動きにストップを
この間、関東市議会議長会から全国議長会への要望書も出されていることが分かりました。内容は「これ以上の公金投入は無理、廃止も含めた対策が必要であり、廃止する場合は会員の積立金の全額が保障されるべき」とのもの。
公的年金への不安と不信がますます広がっている時に、更なる税金投入を行おうとする議員共済会と、自分たちだけ損なく撤退しようとする議員の動きに、市民感覚からかけ離れた、市民不在の政治の実態が表れています。
(小西)