処分できず、増え続ける「放射性焼却灰」

 川崎市内には、放射性物質が検出された焼却灰が山積みになっています。

 昨年5月に13200ベクレルを検出した下水汚泥焼却灰は今も2000ベクレル程度あり、フレコンバックという袋に詰めてコンテナに入れた状態(コンテナ1台当たり約10トン)で、浮島一期埋立地に積み重ねて置かれています。1万1千トンを超える下水汚泥焼却灰とごみ焼却灰(飛灰)が処理できずに一時保管されており、毎日増え続けているのです。

 この埋立地は臨海部にあるので、もし大きな津波が来たら、海も内陸も汚染されてしまうでしょう。これについて川崎市は何の対策も立てていません。

 市の対応方針案として、

①浮島地区への仮保管を継続

②セメント原料化等の資源化 

③海面埋め立てによる処分 

④陸上埋め立てによる処分

の4ケースが検討されています。

 しかし、川崎市の現状としては ①浮島地区の一時保管場所は新設を含めても来年の3月で満杯になる予定ですし、②セメント業者による受け入れは300ベクレルを下回る必要があり拒否されていますし、③国が今年3月に示した「海面埋め立て」指針の基準値を下回るものの、市は安全対策を模索中で、現在、国立環境研究所に調査委託をしています。④評価委員会では、内陸の処分場を短期間で作るのは不可能とする意見も出ています。 

 高濃度の放射性物質が検出された下水汚泥やごみの焼却灰について、川崎市の阿部孝夫市長は十七日、コンクリートの枠で囲うなど放射性物質の漏出しない設備を整えてから、埋め立てる方法もあるとの考えを示した。ただし、この方法では新たに費用がかかることから、「やってもよいか、あらかじめ市民の意見を聞いておく必要がある」としている。(7/18東京新聞記事より抜粋)

 国の基準値を下回るごみの処分について国は援助しない方針なので、川崎市が処分場を建設する場合、費用はほぼ市の負担となりますし、安全対策を満たすための十分な検討と、市民の合意が必要となります。 

 今後、②低線量になったとして灰をセメント原料として資源化した場合、後追いもできず誰が責任をとるのかわからないようなセメント化を許すべきではないし、③海を汚染する危険性のある海面埋め立てを認めるわけにはいきません。

 こう考えていくと、自治体としての選択肢はないように思われます。やはり国が最終処分場を設置するべきではないでしょうか。 

 増えるいっぽうの焼却灰のほかにも、放射性物質による内部被ばくの危険などさまざまな問題が重くのしかかっています。原発ゼロへ向けて運動をすすめるとともに、国や自治体が勝手に決めるのではなく市民の意見を広く聞き議論する場を確保するよう働きかけていきます。  

(高津Weネット 加藤伸子)