登戸研究所 見学報告

明治大学の生田キャンパス内にある「戦時中に建てられたそのまま」をいかしてある貴重な『登戸研究所』へ見学に行ってきました。
ここは世界でも珍しい「秘密戦」の資料館。オモテに出たら戦争犯罪で罰せられるような防諜・諜報(スパイ)・謀略(暗殺)・宣伝のための秘密戦兵器を実際に作っていた場所。ここで働いていた人たちは近隣の住民(15才〜)で、研究内容をよく知らされてないまま、親子であっても仕事内容を伝えてはならず、誰かに話したことがバレたらスパイ容疑で死刑が待っていたそうです。戦争が終わったら全て隠すために資料も何もかも燃やされて、記憶も封じなければならず、登戸研究所について語る人は誰もいなかったそうです。しかし、戦争の本質や事実を冷静に後世に伝えるべく、後に高校生達を含めた多くの方の勇気と努力があって今の資料館が出来たそうです。
印象に残ったことは2つ。1つ目は日本の技術力・研究力の高さです。風船爆弾から偽札や瀘水器など、戦時中で日本にはとにかくお金がなかったという不利な状況でも、蒟蒻など身近なものを使って国民の手作業で世界が驚く技術に仕上げていたこと。世界で初めて偏西風を解明したのも日本だそうです。そして、戦後、登戸研究所の方々はアメリカとギブアンドテイクの関係を結ぶことで戦犯を免れ、中には米国籍になってアメリカの研究所で働く人もいるほどだったそうです。
2つ目は、知らず知らずのうちに自分のやったことが誰かを傷つけているという関係性。風船爆弾などの秘密戦の戦争用具はなんのために作られているのか知らずに働いていた人が大半だったそうです。まさか、自分の作ったもので誰かを殺すことになるなんて…と、後から知った当時の人たちはショックを受けたそうです。この話を聞いて、私は現代の私たちの生活も一緒だと思いました。毎日、安くて便利な食べ物や衣服、日用品を開発して消費しています。経済優先の生活がそのことからどれだけの人権侵害や環境破壊が起きているのか気づいていない人が大半です。知らず知らずのうちに誰かや何かを傷つけて生きているのは、今の私たちも同じだな…と。元々エシカル消費にとても強く関心があったのですが、登戸研究所を見学して、より毎日何を選び何を買い、どんな行動をしていくのか大事にしたいという思いが強くなりました。
「スパイ」アニメがこども達に人気の今。日本でもホンモノのスパイがどのよつに活躍していたのかが分かるこの登戸研究所へ、川崎市民の皆さんにもぜひ一度訪れていただきたいと思いました。